スポーツをしている方なら皆さんどこかしらケガをした事があると思います。大した事無いからと放っておいてそのまま治ってしまう方もいると思いますが、患部がものすごく腫れて動かせなくなった時に患部に氷のうを当てたりして冷やした経験がある方もいると思います。
スポーツのテレビ中継なんか見ていても、不運にもケガをしてしまった選手がアイシングをしていたり、野球で投手が登板後に肩や肘をアイシングしている姿をテレビ等で見たことがあると思います。
これは、患部の損傷、投球による微細な筋損傷による痛みや炎症を抑えるためとされ、頻繁に行われています。
当院も少し前まではケガをしたばかりの方に当たり前のように(教科書通りに)アイシングをしていたのですが、中には冷やすのが苦手という方もいるので、そういう場合はアイシングを除いた処置をしていました。でもどちらの方でも普通に競技に復帰していきます。
そうしているうちにふと気づいたんです。「無理してアイシングしてもしなくても治る期間は変わらないんじゃないか?」という事に。
なので当院では感覚的にアイシングをしなくなったんですが(強い痛みがある場合などは例外的に冷やす事はあります。)、それを説明できるようにしておかないとという事で調べてみたんです。
すると、人間の体は捻挫などで組織を損傷して炎症が起こると、マクロファージと呼ばれる白血球の一種が破壊された組織を貪食する(食べてくれる)んですが、アイシングで血行が悪くなるとこのマクロファージがなかなか患部に届かなくなる。破壊された組織を食べるのが遅くなるので新しい組織の再生が遅くなる可能性がある。炎症というのは、治癒の過程のひとつであって、これをアイシングによって抑制されている。という事でした。
実際にこんな感じで回復が遅くなるのではという事がわかってきているようです。
参考、神戸大学「アイシングは肉離れなどの筋損傷後の再生を遅らせる」
アイシングは、回復は遅くなることはあっても早くなることはない。という事のようです。
元プロ野球選手、通算400勝のレジェンド・金田正一氏は、投球後にアイシングをしない(その時代の考え方もありますが)、車に乗る時に利き腕である左腕を冷やさないように窓側(左の座席)には座らない、夏でも長袖の服を着るなど徹底していたそうです。
同じく50歳まで32年間の現役生活を送り、2016年に引退した山本昌氏も「なんとなく」みたいな理由だったようですが、アイシングをしていませんでした。感覚的に好まなかったのかもしれませんね。
この2人の大投手が、アイシングをしない事によってそこまでできたのかはわかりませんが、投げ続けられた理由の一つになり得るかもしれませんね。
当院では、当初は感覚的ではあったものの、アイシングをやめたのはあながち間違いではなかったようです。
これは同じような理由で湿布にも当てはまる部分もあります。
それは後日^_^
最後になりますが、温・冷交代浴などの治療法や、火照った筋肉を冷やして気持ちいいなどメンタル面での効果等を得る場合もあると思いますので、アイシング自体を全否定するつもりはありません。